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amore【リボーン短編】

第1章 記念日~10年後 雲雀恭弥~


プルルッ


今晩の献立を考えていると、携帯の着信音が鳴った。

発信者名を見て、自然と笑みがこぼれる。

『もしもし。どうしたの?』

彼からこんな時間に電話がかかるなんてめずらしい。

「今日は久しぶりに早く帰れそうなんだ。」

『本当に!?』

電話越しに五月蝿いよ、と苦笑まじりの声が聞こえる。

『ごめんなさい。けど、嬉しくて。』

鏡を見なくとも、頬の緩みと口角の上がりから、今の私の表情がうかがえる。

「今日は特別な日だから。今日ばかりは、たとえ招集がかかろうが何が何でも帰るよ。」

覚えていてくれたんだ。

『ふふ・・・じゃあ、今晩は腕によりをかけて作らないと。』

「君の料理はいつだって美味しいよ。そうだな・・・メインディッシュはハンバーグがいいな。」

『めずらしい。そんなこと言うなんて。』

「そうかな?・・・すまない、これから会議だ。帰る前に連絡するよ。」

『あっ、うん、お仕事頑張って。』

「・・・ありがとう。」


夫・・・恭弥さんは、財団の代表で、マフィアの幹部をしている。

といっても、普段どんなことをしているのか、夫の仕事については何も知らない。

口出ししてはいけないし、危険な仕事だから、彼もそれを口にしない。


普段は忙しく、帰って来れても大抵夜遅くで、一緒にご飯を食べることはごく稀。さみしくないといえば嘘になるけれど、私たちの住む並盛町を守ってくれている。


ぶっきらぼうなところも、他人に厳しく、けれどその分、「並盛の秩序」として人一倍自分に厳しいところも、彼のすべてを愛しているし、妻として誇りに思う。



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