第4章 ドジな部下~10年後 スパナ~
ウチにはってゆー部下がいる。
一月ほど前、正一が派遣した女子。
要らないって言ったんだけど。
正一が連れて来るくらいだから、さぞかし優秀な技術者だと思うだろ?
…その逆。
真面目なんだけど、かーなりの「問題児」だった。
パキャ。
『あっ、なんか踏んだ』
気を付けてって言っても部品踏むし、
『あれ?動かない…なんで??』
部品取りつけ間違えるし、
『わっ、とと…』
《かちっ》
『モスカァァ!!』
躓いた拍子にスイッチ押して、モスカ暴走させるし。
『キャンディ食べていーですか?』
「勝手に食べろ」
話しかけるなって言ってるのに話しかける。
今だって。
静かになったので「おっ?」と振り返ると…
設計書持ったまま、かっくんかっくんしてる。
…なんでウチが起こさないといけないんだ。
いい加減怒るぞウチも。
「起きろ」
本の角で頭を叩く。
ゴッ
『っつー…』
「…この忙しいのに、寝るとはいい度胸だな?」
『ひぃぃぃぃお許しを…』
「・・・言い訳は?」
『あ・・・その、マニュアル・・・読んでたら朝になってて…』
「はぁ。これ食え」
『ありがとうございま・・・っっかっらぁぁぁ舌がぁぁぁ!!!』
「ふ。タバスコ入りキャンディー。うまいか?」
『ひ、ひどいぃぃ喉が焼けるぅぅ』
「まだまだあるぞ」
『うぅー、いじわる・・・』
「目が覚めただろ。はい、手を動かす。」
本当はすんごくイラついているのに、何故か憎めない。
・・・カチャカチャ
・・・キュイーン
『あのー…スパナ様、』
「……」
『スパナ様…?』
「……」
『すー…パナさ、』
「煩い、聞こえてる」
『なら返事してくださいよー。
これ、ここをこうで合ってますよね?』
「あ、それ先にやると…」
『あつっ…』
がしゃっ
・・・ほんとに、あんたは。
ため息しかでない。
『あ…っ』
「・・・大丈夫だ、壊れてない。」
『すみません、ほんと役立たずで…』
「…反省する暇があるなら早く手を動かす。ほら、これで冷やせ」
ぺちっ
保冷剤がの頬にあたる。
・・・どこまでも鈍臭い。
『…あの、スパナ様。』
「なに?」