第3章 お忍びデート
「もしもし、翔くん?」
そのあとふたりで泊まる予定だったホテルにひとりでチェックインした。
従業員さんと気まずくなったけれど、翔くんの声を聞いたら吹き飛んでしまった。
「今日はごめんね。
でも七海、明日はいっぱい遊ぼう」
「うん!」
大野さんの言った通り、翔くんは明日はオフらしい。
「あ、ちょっと切るね。おやすみ」
まだ話したいことあったのに。
忙しいのかな。
キングサイズのベッドがふたつ。
ひとりでいるには余りにも寂しい部屋。
翔くん…。
「七海?」
「え!」
ドアをノックする音と、大好きなあの人の声。