第12章 小休憩
「ゲンマさん、私、イタチくんを見つけても、見つけられなくても、ちゃんと、3年したら絶対帰ってきますから。その時どんな状況でも、どんな意味でもいい、「おかえり」って言ってもらってもいいですか?」
「なんだそれ。」
訳がわからないけれど、嬉しそうに微笑むさゆの顔を見たらもうなんでもよくなった。
「わかった。じゃあお前もちゃんと「ただいま」って言えよ?」
「はい!」
ただいま
おかえり
そんな当たり前な、単純なやり取りを約束するのは意味のあることなのだろうか?
あぁ、でも
俺はきっと、こいつがいなくなった日々の中でその言葉を言うのを待遠しく思うのだろう。
その頃にはこの感情の答えは出てるんだろうか。
「手遅れにならなきゃいいけどな…」
「え?」
「なんでもねぇよ。3年後、何が何でも帰ってこいよ。俺はお前の決断を見るって決めたんだから。」
「…はい!」
そんなことを言えばさゆはまた嬉しそうに笑った。
>八分咲き.fin