青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第21章 側にいて
「劉偉?她誰?(劉偉?彼女は誰だい?)」
見つめ合ったままの私と劉の間を。
沈黙を切り裂くように、劉と一緒に居た二人の中国人が劉に問いかけた。
すると、劉はハッとして「え?あぁ…」と声を漏らして、その人たちに向き直った。
「她是枝尾鈴佳。是籃球部的経理、我的朋友(彼女は枝尾鈴佳です。バスケ部のマネージャーで私の友人です)」
「那樣嗎(そうか)」
中国語で会話をされて、何を言ってるのか全くさっぱり分からなかった。
が、私はここへ来た当初の目的を思い出し、劉とそのその人たちの間に入る。
年は…40代くらいだろうか。というくらいの叔父さんと叔母さん。
私は目の前の二人を思いっきり睨んだ。
「劉を連れてかないでよ!別にちょっとくらい、いいじゃん!!留学期間なんて伸ばせるでしょ!?私には劉が必要なんだからね!!私から劉を奪わないで!!」
どうせ通じないとは分かっているが、なんせ私は日本語しか話せない。
分かってはいるが、私は必死に目の前の二人に訴えかけた。