青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第19章 蓋をした
すると、氷室はクスッと笑う。
「鈴佳も素直になったら?って話だよ」
「私が?何に対して…」
「劉のこと。自分の気持ちに気づいたんだろう?」
「!」
直球で言われ、私は言葉を失って目を見開く。
「鈴佳だって一人の女の子なんだし。誰かを好きになることは何もおかしいことじゃないんだよ?」
以前、夏休みの終わりだったか。
私は氷室に「鈴佳は好きな人は居る?」と聞かれ、「そんなモノ、今までだって居たことはないしこの先もない」と答えた。
そのことを言われているのだろう。
「…べ、別に私はそんなんじゃ…」
気づいてはいる。
私はきっと劉のことが好きなんだろう。
それもずっと前から。
でなければ、あの私が劉を入学当初から無条件に側に置くワケもない
だけど、その気持ちを、無駄にプライドの高い私が認められるワケもなくて。
気づいてないフリをしていた。
今だって、氷室に言われたのが恥ずかしくて、否定してしまう始末。
「いつでも俺は相談に乗るからね」
「だからっ私は別に!」
「本当かい?」
「……」
氷室に真っ直ぐに見つめられ、私は視線を反らして黙り込む。
「…今まで、劉には散々迷惑かけてきたし…そんな私…劉は…」
消えてしまいそうなか細い声で私は言った。