青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第18章 良かった
紫原は、自分の中学時代の話をあまりしたがらない。
だから、何があったのか。
何をそこまで重い空気になっているのか。
私は知らないけど…今日で何もかも浄化されるといいな、なんて思う。
ホント…私らしくない。
「桃井」
ゆっくりと私は桃井に振り返り、立ち止まった。
「私はアンタが嫌い。だけど、今は一人の好敵手としても見てる。今回は当たり損ねたけど…来年は首を洗って待ってなよ」
「!」
「勝つのは、私たち…陽泉だから」
桃井は一瞬だけ驚いた顔をして、少し困りがちに笑う。
そして、「はい。臨むところです」と答えた。
こんなこと言うなんて、私らしくない。
とか言ってみるが、本当はこれが私だったのかもしれない。
「なんや鈴佳ー…素直にモノを言えるようになったんか?わしは嬉しくて涙出てまうわぁ…」
「なっ…う、うっさいな!……って、何ホントに涙流してんの!?アゴリラまで!?」
主将二人が目頭を押さえている姿に、私は声を張り上げる。
その様子を、その場に居る全員が頬を緩めて見ていた。