青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第17章 守る騎士
ゾーンだ。
火神がこの重要な場面でゾーンに入ったのだ。
こちらとしては痛すぎる。
「(こんなとこで…負けるワケにはいかないってんのに!!)」
強く奥歯を噛みしめる。
直後、氷室の連続フェイクで誠凛のDFを一気に三人突破。
迎え撃った火神に、氷室も勝負を仕掛ける…陽炎のシュートだ。
一度目のリリースで跳んだ火神。
勿論氷室は二度目のリリースにボールを放った。
「うっそ…まだ浮いてる…!?」
一度目のリリース時に跳んだ火神が、まだ宙に浮いている。
氷室のシュートは弾かれた。
身をもって体感した…ゾーンはとてつもなく厄介で、ただ単に凄い。
「やべぇ…戻れ!!カウンターだ!!」
黒子が拾ったボールを陽泉も追う。
戻りが早かったこともあって、間に合いこそしたが、火神の3P。
緑間のように、決まる前に戻り始める姿。
今…この場に置いて、火神を止められる人なんて…もう居ないと思わせられるそのプレイ。
「氷室…」
呆然と立ち尽くす氷室に、心が痛んだ。