青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第16章 挨拶を。
間違いなく、火神はまだ100%の力で勝負をしていない。
多分だけど…まだ氷室のことを心のどこかで「兄」として見ているからこそ、無意識に自分の力にブレーキを掛けている。
だから、誠凛は火神を下げた。
「ですが…例え火神が気持ちを立て直して戻ってきたとしても、勝つのはうちの氷室です」
負けるなんてこと…あってたまるか。
私には、氷室の気持ちが痛いほど分かるんだから。
私はまだ勝負に至る途中だけど、氷室にはここで勝ってもらわないと困るんだから。
試合が再開した。
だが、ここで紫原の顔つきが変わり、鉄平のシュートを苛立った様子でブロック。
跳ね返ったボールは誠凛が拾い、まだこちらのDFだ。
「まだだ!!」
雅子ちゃんがコートの選手の動きを見て叫んだ。
なんと、先程までゴール下に居たはずの鉄平がいつの間にかアウトサイドに居たのだ。
そして、3Pを決めた。
「…はぁ。てゆーかマグレでしょ?」
紫原はそう言うが、ただのマグレならまだいい。
マグレならいいのだが、私の顔が険しいモノになる。