青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第16章 挨拶を。
が、そのシュートは火神の指に掛かり、リングに弾かれ、インサイド勝負。
まずこちらが負けるなんて…と思っていた時。
「!!」
「なにっ!?」
鉄平が空中でボールをつかみ取った。
それも片手で。
「は、はあ?そんなのアリなワケ?」
いや、ナシに決まってる。
ここでちょうど第一クオーターが終了した。
「ちょっとちょっとぉ…点差18点って何なワケ?20点台に乗せてから帰ってきてよね」
「俺らもそのつもりだったんだけどね」
ベンチに戻ってきた五人に向かって言うと、氷室が苦笑しながら答える。
まぁ…ただ最後のあれは私も驚いたけど。
くっそ鉄平め…やっぱ同じ『無冠』の中でもアンタだけは好きになれないわ。
「一ついいですか?」
「どうした氷室」
汗を拭いながら氷室が言う。
「10番の火神ですが、アイツは挑発されればすぐにカッとなります」
「へぇ…」
「ってことだけど?アゴリラ」
「任せろ。ってか、こんな時までアゴリラ!?」
ポジション的にも火神のマークはアゴリラだろう。
心理戦に持ち込むのは今吉さんみたいで好きじゃないけど、向こうのエースを潰せるんなら異論はない。
「いいか?次のクオーター…前半のうちに一気に止めを刺してこい」
「「「おう」」」
雅子ちゃんが目を鋭くし言い放つと、それに応えるように声を張る五人。
二分の休憩も終わりが近づき、再びコートに立つ。