• テキストサイズ

青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】

第14章 雪ウサギ




思わぬところで自分の名前が出た福井ちゃんは、目を丸くして劉を見上げる。


「俺?え、いつ言った、そんなこと」

「言ったアル。ワタシが日本に来てすぐの頃、日本人は女の人を見たら、まずは声を掛けるって、教えてくれたアル」

「ふーくーいーちゃーんーっっ」


よくも余計なことを…!と、私は、キョトンとした福井ちゃんの首を締めては揺らす。

そんなことも気にせず、福井ちゃんと劉は暫く見つめ合い、そして福井ちゃんがポンと拳を掌に打ち付けた。


「あ、あれか」

「言ったんか…なんてことを言うんじゃ…」

「いや、まあ…ちょっとな」

「ちょっと、じゃないわ!!」


口角を上げて笑う福井ちゃんだったが、その笑顔は引き攣って、「うーん」と私に絞められた首の後ろを掻く。

劉の素直さと、スポンジのような吸収力は知ってるのに!!

何で、こうも余計なことばっかり吹き込んじゃうかな?!


「…もしかして、嘘だったアルか?」


劉は、元々鋭い目をさらに鋭くして福井ちゃんを見つめる。

その様子から、静かに怒っているのが窺える。


「い、いや、嘘じゃねーよっ!でも、TPOってのが、あんだって!」

「TPO…?何アルか、それ」

「えっ!?えっと、あれって何の略だ…?あ、そうだ、アレだよ!『ちょっと・パッション・抑えてこーぜ』の略だよ!」

「ちょっとぱっしょんおさえてこーぜ…?」


訝しげに福井ちゃんに言われた言葉を繰り返す劉。

/ 463ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp