青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第13章 次こそは
*
「痛っっ」
「ベンチに入れと何度言ったら分かるんだ!!」
決勝前。
ベンチ入りの準備を嫌々ながらにやっていた私を発見した雅子ちゃんは、私の姿を確認したと同時に愛刀で思いっきり殴る。
「アイツらが私の機嫌を損なわせたのが悪いんですよ」
「問答無用!」
「っ二回目?!」
さっき殴られたばかりだと言うのに…本日二度目の鉄槌を受ける私。
だから…今回は私のせいじゃないってば…。
「おー枝尾。差し入れ美味かったぞ?」
「謝謝」
「サンキューな。ほれ、これは返すわ」
アップを終えてこちらへ向かってくる陽泉バスケ部一同。
準決後、私がフラフラとその辺りをぶらついている間に、皆で食べてしまったらしい。
空っぽのタッパーが返された。
あれほど私を馬鹿にしたんだ。
洗って返せや、コラ。
「鈴佳。とても美味しかったよ、ありがとう」
「どーいたしましてー」
「枝ちーん。もしかしてまだ怒ってるー?」
お礼を言う部員たちと一切目を合わさない私を、間延びした声と共に覗き込んできた紫原。