第1章 想い
あの時は本当に幸せだった。
なんか昔のこと、思い出しちゃうな…。
私が小5だったとき
あなたはこの小学校に入学してきた。
2クラスしかないこの小さな学校で
転入生は珍しかった。
「愛梨ー、隣のクラスに転入生来たって!」
「マジ?!女子?男子??」
「男子だって!見にいこーよ!」
私たちは隣のクラスを覗いた。
黒板の真ん中に書かれた名前。
飯田直人…。
「ねぇ、あの人だって!!」
と、樹里が指差すほうを見た。
顔、普通よりちょい上で小柄な男子。
「あの人かぁ。」
「なんか、かわいくない?」
樹里がそんなこと言うなんて珍しいな。
もしかして…
「好き?」
「そんなのまだわかんないよぉ~。ただなんとなく!」
「あとから好きになったりして!」
冗談で言ってみた。
でもこの冗談はのちのち本当になった。