第5章 居場所
山口side
しばらくすると、ちよちゃんが一回りカラダの大きな男の子と泥だんご作りで競っているのを横目に、菅原さんがゆっくりと控えめに語り始めた。
「…実は俺のカミさんさ。……もともと、俺じゃなくて、、大地のことが好きだったんだよ…。」
「……え?な、な…
な、なら、、なんで、今、菅原さんと結婚して…「大地にフられたんだよ。…ほら、大地には、清水が居たし。」
「奥さん……どうして、、菅原さんと、結婚してくれたんですか…?」
「おい、おい!;;ちょっとストレートに酷くないか?その質問。」
「あっ!すみません!!;;;」
菅原さんは、確かにとっても優しいし、男の俺から見ても、尊敬するところがたくさんある先輩だ。
きっと、澤村先輩から振り向かせるだけの男としての魅力…みたいなものが、俺なんかより、ずっとあるから……
…じゃあ、俺は………
俺には、菅原さんみたいな魅力はないし、尊敬されるところも、、多分ない。
「またそんな暗い顔して、お前は……
俺が言いたかったのはさ、いくら思い通りにならなかったとしても、相手を信じて、あきらめないことが大事だってことだべや。」
【相手を信じて、
あきらめないことが大事。】
…俺、ずっと…、居場所がなくなったと思って、ふたりを避けてるだけで、なにもして…なかった。
だけど、それは、ふたりを信じていなかったからじゃないのか…?
ふたりが離れていく…
ふたりが俺を必要としてくれてるわけがない…
って……
「……菅原さん、俺、ふたりのところへ帰ります!」
たとえ、元通りにはなれなくても、、
やっぱり俺は…ふたりと一緒に居たい。
ふたりと過ごした時間は、俺のなかで、かけがえのないものだから。