第8章 しょぼくれ彼氏の慰め方【木兎光太郎】
「ヘイヘイヘーイ!!」
練習試合中、絶好調の彼。
今の所は……なんだけど。
「あかーし!」
「木兎さん!」
赤葦くんからのパスをスパイクしたが、バシッ!と、見事にブロックされた。
「もう一回!あかーし!」
「木兎さん!」
なんとか拾ったボールをまた繋げるもの
バシッ!
コロン……
「「あ……」」
梟谷コートに落ちたボール。
赤葦くんと私は声を揃え彼を見た。
ほんの数分前までは絶好調だった彼は見事に“しょぼくれモード”のスイッチが入ってしまった。
「今日はもう俺にパスを上げるな!」
チームメイトの方を振り向きもせずそう宣言した。
対戦相手の音駒の方たちはまたかと、黒尾くんに至ってはニヤニヤと笑っていた。
何とか試合は終えたものの、相変わらず彼のしょぼくれは治らない。
「光ちゃん」
「美咲!俺に話かけるな!」
「木兎さん」
「あかーしもだ!」
「そうですか。じゃあ美咲さん一緒に食事に行きますか。木兎さんは置いて」
「………え?」
赤葦くんは私の肩に手を回し歩き始めた。
「光ちゃん……」
チラリと振り向けば呆然としている彼の姿があった。