第83章 【ガクエンサイ】
『連絡します、前夜祭パレードに参加する生徒は、グラウンドに集合してください、繰り返します____』
校内にアナウンスが鳴り響く。
すっかり準備も整った今日は、学園祭の前夜祭。
これから行われるのは仮装パレード、夕方の商店街を宣伝も兼ねて練り歩く。
いよいよ、始まるな……
グラウンドに続々と集まってくる、思い思いに仮装した生徒たちを眺めながら、これから始まる学園祭に想いを馳せる。
学園祭は明日、明後日の土日、2日間で開催される。
前日の今日は朝から会場準備と最終点検が行われていて、これからの前夜祭パレードも含めると、実質3日間が学園祭のようなもの。
日曜日の後夜祭、キャンプファイヤーまでの3日間は、今までの集大成……
せっかくみんな頑張ったんだから、ファイナルまで何事もなく開催されるといいな……
「小宮山センパーイ!」
続々と集まってくる生徒たちの中から、大きい声で私を呼んで駆け寄ってくるのは、チアリーダーの格好をした鳴海さん……
柔らかいウェーブの髪をポニーテールにまとめ、大きく振る両手には金色のポンポンが握られている。
相変わらず可愛いなぁ……
鳴海さんの可愛さは普段から相当だけど、普段と一味違う格好は余計に彼女の愛らしさを引き立たせて、男の子たちだけでなく女の子たちまでもおもわず見惚れてしまうほどで……
「先輩、どうですかー?、思い切ってチアリーディング部の友達に借りちゃいました!」
「とてもよくお似合いですよ、可愛らしくてぴったりです」
笑顔で彼女にかけた言葉は本当……
普段、応援や大会で華やかなダンスを披露する先鋭たちにも、決して引けを取らない。
「芽衣子ちゃーん、俺たちのこと応援してよー?」
「ダメですよー、私は英二先輩の専属でーす!」
周りからかけられるそんな浮ついた声に、はっきりと言える彼女は本当に堂々としていて……
そんな彼女が眩しくて、それからやっぱり羨ましくて、静かに目を伏せた。