第81章 【ゲンジツトウヒ】
何度も、何度も、自分で熱を解放した。
英二くんが入れてくれたお風呂でシャワーを浴びながら、ベッドに入って布団にくるまりながら、それこそ一晩中……
解放しても、解放しても、その熱は冷めることを忘れたように下腹部を疼かせて……
英二くんがすぐそばにいるのに、それでもやめれない自分が情けなくて、恥ずかしくて、そのたびに涙が溢れて止まらなかった……
英二くんが私に気を遣ってくれているのはわかったけれど、私のために新しい下着や服まで用意してくれたけれど、それでも欲望を抑えられない自分がみっともなくて……
そもそも、自分の警戒心の甘さのせいで、英二くんに迷惑をかけてしまって、もうあわせる顔なんかなくて、第一、他の人たちにいいようにされて、嫌なのに達してしまった自分が情けなくて、こんな私を見られたくもなくて……
それでも、英二くんが欲しくて、何度も英二くんにオネガイしそうになって、でも、すんでのところで何とか理性を繋ぎ止めた。
だって、こんなの、本当の私じゃない……
良かった……英二くんがその気にならなくて……
だって英二くんに求められたら、きっと紙一重で繋ぎ止めていた理性を、あっという間に手放していただろうから……
自ら彼を求めて、本能の赴くままに乱れ喘ぐだろうから……
もしそんなことになったら、私は自分を許せなくて、きっと絶望しただろうから……
その癖、英二くんが求めてくれないのも悲しくて……
もう私にはそんな気すら起きないのかな?って、やっぱり鳴海さんの方が大切なんだよね?って……
矛盾する想いに、もう、自分で自分の気持ちが分からなくて……
何度も達して、クタクタになって、やっと無理やり発せられた熱が治まったのは、もう明け方のこと……
そのまま英二くんが寝ている間にそっと部屋を後にした。
ちゃんとお礼を言わなくちゃ、それは分かっていたんだけど、心も身体もグチャグチャで、とにかくホテル代と服の支払いだけは……と財布の中のお札を全部テーブルの上に置いて……
外に出ると東のビル群を朝焼けが真っ赤に照らし出していて、その美しさに胸が痛んで涙が溢れた……