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【テニプリ】闇菊【R18】

第77章 【セメテユメノナカデハ】




「……今日は……やめとく」


今まで誘いを断ったことなかったから、オレのその返事に芽衣子ちゃんが一瞬戸惑う。
そうですか……、寂しそうな顔で俯いてしまったその様子に、悪いなって気持ちにはなるんだけど……


「……女の人に……会いに行くんですか……?」


芽衣子ちゃんのその言葉に、違う違う、慌てて笑顔を作る。
流石にあからさま過ぎたよな……
自分で芽衣子ちゃんを大切にするって決めたのに、なに、不安にさせてんだよ……


もう他の女とは会わないよん、あの店にも行ってないしさ……、そうニィッと笑って芽衣子ちゃんの前髪をクシュッと握ると、その不安そうな顔を覗き込む。


「明日の朝、いつものように迎えにくるからさ……?」

「……金曜日は、泊まってくださいね?」

「ん、約束するよん……」


チュッと短くキスをすると、やっと笑顔になった芽衣子ちゃんに、んじゃね、そう言ってくるりと背を向け歩き出す。


……小宮山なら、ここで「もう一回」だよな……
ごめんねってキスして、本当は怒ってなんかないくせに、もう一回ってキスをねだる……
そのときの顔や仕草が、スゲー可愛くて……


角を曲がり芽衣子ちゃんの姿が見えなくなるのを待って、グイっと唇に残る違和感を手の甲で乱暴に拭う。
ゴメンな、明日の朝はちゃんと気持ちを切り替えて迎えにくるからさ……?
心の中で芽衣子ちゃんに謝ると、そのまま空に視線を向ける。


秋晴れの空に伸びるまっすぐな飛行機雲を眺めながら、また小宮山のことを思いだす……
小宮山……オレ、今日、ほんの少しだったけど、すげーグッスリ眠れたんだ……
小宮山のおかげだよ……


真っ直ぐに手を伸ばす。
背伸びしてより高く、より力強く……


「小宮山……オレ、小宮山が……」


大好きなんだ____


もう二度と、オレが声にする資格も無くなった言葉……
必死に口だけ動かし、空に向かって叫び続けた……

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