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【テニプリ】闇菊【R18】

第75章 【ユウジントシテ】




「大人しく不二先輩にしとけばいいんだ……」


英二のことで落ち込む小宮山さんを元気付けるために、一緒にテニスをした帰り道、別れ際で海堂がボソリと呟いた独り言……
わざと彼女に聞こえるように言った海堂に、思わず怒りをあらわにした。
そんな僕と海堂のやりとりに、小宮山さんが戸惑っているのは分かったけれど、それでも気持ちは切り替えられなくて……


海堂にまで気づかれているのか……
僕の気持ちに気づいてないのなんて、もう小宮山さん本人だけじゃないかな……?
あ、あと桃くらいか……
桃はもともと他人の気持ちに敏感な方ではないし、特に今は自分のことで精一杯だからな……


そう、精一杯なんだ……
桃も、小宮山さんも、もちろん英二も……


それから僕自身も____










「周助、菊丸くんが来たわよ……?」


日曜日、自室のロッキングチェアでレコードを聴く僕のところに英二が訪ねて来た。
なんの連絡もなく突然自宅に訪問してくるのは、英二の場合、決して珍しいことではないけれど、ちょっと様子がおかしいみたい……、そう部屋に知らせに来てくれた姉さんの様子に不思議に思った。


「やあ、英二、突然どうしたの?」

「……うん、不二に……話が、あって……」

「話って……改まってなにかな?、とりあえず僕の部屋に行こうか」

「……いや、できれば、外で……」


普段、こちらの都合なんて御構い無しで、ズカズカと勝手に部屋まで上がり込んでくる英二が、出迎えた家族に愛想笑いすらしないでただ目を伏せるその様子は、確かに姉さんの言う通り、様子がおかしくて……
そんな英二の様子に、話の内容なんてだいたい想像はできて……


「……分かった、少し待ってて、すぐに準備してくるから」


英二を玄関で待たせたまま、自室へ戻り携帯や財布を準備する。
これから聞くであろう話の内容を思うと、少し憂鬱で胸の奥が重苦しく痛んだ。

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