• テキストサイズ

【テニプリ】闇菊【R18】

第13章 【ムリトカクゴ】




目が覚めればそこはいつも同じ、見慣れた天井。
いつもと同じ暖かな布団に包まれ、愛猫のぬくもりに安堵する。
いつもと同じように背伸びをして、それからカーテンを開け空を仰ぐ。


東の空から昇る太陽が、街を、空を、公園を赤く染めていく。
徐々に明るくなるその空は、まるで私の心を表しているかのよう。


「おはよう、英二くん」


そっとつぶやき、そして微笑んだ。


「お母さん、おはよう!」

「……おはよう、璃音」


キッキンへむかいお母さんに朝の挨拶をする。
手伝うね、そう私が笑うとお母さんも、それじゃ、洗濯物、干してきてもらえる?そう言って笑った。


「……お母さん、ありがとう」


キッキンをでる間際にそっとお礼を言うと、お母さんはちょっと驚いた顔をしてそれから、どういたしましてと優しく微笑んだ。


バルコニーにでて朝の新鮮な空気を吸い込む。
洗い立ての洗濯物をパンと伸ばし、ハンガーに掛けてピンで留める。
朝の爽やかな風が私の髪や頬を撫でて、大丈夫、そう背中を押してくれた気がした。


いつものように準備をすませ朝食をとり、いつもの時間に家を出る。
いつものように校門を抜け、昇降口で靴をはきかえ、階段を登り廊下を歩く。
教室に入り自分の席に着くと、鞄から教科書を出して机にしまう。


それから本を読んで、心落ちつかせるいつもの時間。


「おっはよー!」


いつものように元気な声が廊下から響いてくる。
おはよー、英二!そう答える声がこだまする。
そして教室に飛び込んでくる、みんな、おっはよーの声。


「おはよー、小宮山さん!」


顔を上げて心待ちにしたその声の持ち主をジッと見上げる。


「おはようございます、菊丸くん」


静かにそう言って精一杯の笑みを浮かべる。
いつもと違う、初めての彼に向ける私の笑顔。


きょとんとした顔で英二くんは私を見返して、それから、あ、うん、おはよー……そうちょっと戸惑った顔でもう一度挨拶をした。

/ 1433ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp