第56章 【フタリ】
「そんで、これがオレの生きてきた17年間……」
ゆっくりとオレの人生を振り返った。
オレの17年の人生は自分でも笑っちゃうほど波瀾万丈で、まだたった17年間なのに話すことは山ほどあって、一通り話し終わる頃には東の空は白みはじめていた。
話している間中、オレを包み込んでいた小宮山の細い身体はガクガク震えていて、必死に堪えていた涙が、とうとうポロポロとオレの頬に零れ落ちる。
「泣くなって……オレ、同情されるの、好きじゃないんだって……」
身体を起こして力無く笑いかけると、小宮山は口元を手で覆って、何度も首を横に振る。
ああ、分かってるって、オレがゴールデンペア解散を告げたときの大石と同じ。
それは同情に違わないんだけど、オレが嫌いな同情じゃない。
暖かい、オレの心に染み込んでくる、優しい涙……
「英二くん……本当のこと、話してくれて……ありがとうございます……」
そっと涙を拭った小宮山は、そう何故かオレにお礼を言って、それからオレの身体を優しく包み込む。
ギュッと小宮山の背中に腕を回して抱きしめ返すと、オレの背中を優しく撫でてくれる小宮山の手が、まるでかーちゃんみたいに優しくて涙が溢れた。
「オレの方こそ、こんな話、聞いてくれてあんがとね。聞きたくない話題もあったじゃん?」
オレの初体験の話なんて、小宮山にすべきじゃなかったかもしれない……
まあ、んなこといったらオレの生い立ち全部がそうなんだけど。
小宮山は優しいから、すげー優しくて、そんですげーオレを想ってくれているから、その分なおさらその胸を酷く痛めて、そんで涙を流してくれる。
小宮山はそのオレの問いかけに、また何度も首を横に振って、英二くんのことは、何でも知りたいです、そう消えそうな声で力強く言い切った。
本当、小宮山は強いよな……
こんな細い腕で、細い身体で、滅茶苦茶なオレのことをすべて受け止めてくれる……
だからこそ、オレは、小宮山の側にいると、
すげー安心して
すげー……苦しいんだ____