第46章 【フタリノキョリ】
それから、数日はまったりと過ごした。
英二くんは毎食おいしい食事を作ってくれたし、それから、私が勉強したり本を読んでいる間、一緒に勉強したり、携帯を眺めたり、ネコ丸と遊んで過ごしたりしていた。
私の勉強する様子を覗き込んだ英二くんは、イギリスから取り寄せた入試対策の参考書と問題集に、何これ、問題文も答えも全部英語じゃん!そう驚いて目を丸くした。
一体何の勉強してんのさ!?そう驚きながら質問されたけど、どうしても進路のことは言えなくて、色々ですよ?、そう笑顔で答えてごまかした。
そんな生活の中、英二くんに求められれば昼夜問わず彼に身を委ねたし、断りきれずに一緒にお風呂に入ったりもした。
一緒に入るお風呂は目のやり場に困るし、英二くんはじっくり見てくるし、当然のように触れてくるしで、物凄く恥ずかしくて、のぼせてクラクラした。
だけどドライヤーで髪を乾かして貰った時は、凄く気持ちよくて心地よかったから、こんなのもたまにはいいかな、なんて思ってしまうと、そんな私の心を見透かしたのか、こんなんでよけりゃ、いつでもいいよん?、そう言って英二くんは笑った。
夜はまた怖い夢を見ることもあったけど、目が覚めたとき、必ず英二くんの腕の中に包まれていたから、すぐに安心して再度眠りにつくことができた。
逆に夜中、小宮山起きてー、そう英二くんに起こされたことがあって、どうしたのかな?って思ったら、ちょーっと付き合ってよ、なんて言われて、不思議に思いながらついて行った先はトイレだった。
ここにいてよ?絶対だかんね!、そう何度も念を押すその様子が可愛くて、思わずクスクス笑ってしまい、ひでーって頬を膨らませる英二くんのそんな所も可愛くて、ごめんなさい、そう謝りながらもしばらく笑い続けた。
残りの食材が少なくなってきて一緒にスーパーに行ったり、2人で並んで歯磨きをしたり、まるで恋人同士のような時間が、穏やかにゆっくりと、でも、あっという間に過ぎていった。