第44章 【ヨフケノケツイ】
ベッドに潜り込んで2人寄り添う。
相変わらず気持ちがいい英二くんの腕枕の温もりに、満ち足りた幸せを確かめるように頬ずりする。
そっと英二くんの手が私の髪をなでて、それから頬をくすぐり唇をなぞる。
すぐ目の前の英二くんの顔が更に近づいてきて、チュッと可愛い音をたてて私の唇をぬらし、離れて目があうと2人で笑いあう。
英二くん、大好き、本当に……凄く、大好き、心の中でゆっくりと、何度も何度も繰り返す。
ねえ、英二くん、私、幸せだよ……?
セフレだって、彼女になれなくったって、今、心から幸せだよ……?
「英二くん……ありがとうございます」
そうお礼を言う私に、何が?なんて英二くんは不思議そうに首を傾げる。
「沢山、話を聞いてくれて……あの頃の私を否定しないでくれて……」
凄く、嬉しかったです……、そう続けてその胸に頬を寄せると、規則的な胸の鼓動にだんだんと意識が遠退いていく。
小宮山、おやすみ、そう心地よい声に意識を預けると、おやすみ、な、さ……い……、そうなんとか呟いて重い瞼を閉じる。
「オレもいつか、小宮山に話、聞いてもらおうかな……」
意識を手放す直前、瞼に触れる英二くんの唇の感触と、少し寂しげな声が聞こえた気がして、は、い、そう小さく頷く。
私からは何も聞けないから……
英二くんが話してくれたら、凄く嬉しいから……
長く、苦しく、でもこれ以上にない幸せな、アツイ真夏の一日は、大好きな英二くんの温もりに包まれながら幕を閉じた____