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【テニプリ】闇菊【R18】

第43章 【シルシノイミ】




「怒んないよ……」


そっと包み込まれた温もりに目を開くと、英二くんは力ない笑顔で私を抱きしめていて、それから、これはオレが無神経、ほんと、ごめん……、そう私を抱きしめる手に力を込めた。


「芽衣子ちゃ……、鳴海さんとは、本当はそんなんじゃなくてさ」


優しく私の髪をなでながら英二くんは申しわけなさそうに呟いて、それからそっと目を伏せる。


「あん時は……その、小宮山に対してちょっと……だったから、つい……」


そう言いにくそうに言葉を濁しながら英二くんは視線を逸らす。
つい……?そうよく理解できない私をもう一度抱きしめる。


「あの日は小宮山にあてつけみたいになっちゃって……でも、もう一度告られたけど、また断ったんだ……」


だけど、後から偶然あったときに、最後の思い出にって誘われて……、そう申しわけなさそうに事の経緯を説明してくれる英二くんの、その腕の中にそっと頬を寄せる。


私なんかのために英二くん、そんな言い訳しなくてもいいのに……


しるしを避けていつもと逆肩のほうに引き寄せてくれたことも、「芽衣子ちゃん」を「鳴海さん」に言い換えてくれたことも、私へ見せてくれる英二くんの気遣いが嬉しくて……


もちろん、英二くんと鳴海さんに関係があったことはイヤだけど、でも以前だったら絶対ウザがられるところで、ちゃんと私の気持ちを考えたくれたから……


「小宮山、オレに小宮山のしるし、つける?」


思いがけないその言葉に、え?って驚いて顔を上げる。
でも……そう視線を泳がせると、小宮山ならつけてもいいよ?、そう英二くんはまた私をそっと引き寄せた。


それってどういう意味……?
私のしるしって、だって、英二くん、私のものじゃないよ……?


混乱する頭で英二くんを見上げると、目があった彼はもう一度、小宮山ならいいよ、そう小さく呟いた。


そっと英二くんの胸に唇を寄せると、彼が私にするようにチュッと吸い上げる。
うっすらと、本当にうっすらとだけ、桜色の私のしるしが浮かび上がった。

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