第7章 【ネコニマタタビ】
ハァハァと彼が荒く肩で息をする様子を放心状態で眺める。
はは、すげー出てんの、そう彼が笑いながら事後の処理をする。
「は、早く解いてください!」
我に返りそう声をあげると、分かってるって、と彼は私を拘束するリボンを解いたから、慌てて起き上がり、必死に乱れた服を着直す。
身体中につけられた無数の赤い痕と、バラバラになりそうな痛みを放つ下腹部が悲しくて、自分の身体を抱えて涙を流した。
「つーか何で泣くわけ?そりゃ最後は痛かったかもしんないけどさ、その前はあーんなに喜んでたじゃんか」
そう菊丸くんが眉間にしわを寄せ面倒くさそうに呟く。
「もう放っといてください、私に関わらないで……!」
そう泣きながら呟くと、んなこと言ったって、そう彼はブツブツ言ったあと、顎に指を当てて、んー……と考え込む。
「勿体ないじゃん?オレと小宮山、相性いいみたいだしさ!」
「相性……?」
「今日はオレ、余裕無くて悪かったしさ、次はもーっと気持ちよくさせちゃるって♪」
そう言う彼に、次はって……?なんて脅えて返事をすると、彼はポケットからスマホをとり出して、見る?、そう私の前に差し出した。
『やぁぁ……っあ、はあっ……な、なんか……へん……!』
映し出されたその映像に、私は思わず目を疑った。
『あ、あぁっあぁぁぁぁっ!』
そこには紅潮する顔で登りつめ、絶頂を迎える瞬間の、本能剥き出しで喘ぐ私が映し出されていた___
「イヤァ!!!なんで!!」
私は慌てて彼の持つスマホ目掛けて手を伸ばす。
けれど彼は素早くそれを高く上げ、私の手は空をつかむ。
「残念無念、また来週~♪」
そう言って菊丸くんは入口の鍵を開けると、後ろ手でバイバイとスマホを揺らす。
それから、あっ!と振り返り、今度こそオレと小宮山さんの2人だけの秘密だかんね?、そうウインクしながら倉庫を後にした。
そんなカレの背中をただ呆然と見送るしかできなかった。