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【テニプリ】闇菊【R18】

第40章 【ウデノナカノヌクモリ】




無我夢中で引き寄せたその身体の感触と温もりに、胸に熱いものがこみ上げてきて、小宮山を包み込んだ手に力を込める。


それから、自分がラケットを握ってボールを打ったという事実に、信じられない思いで右手を見つめる。
ラケットを握った右手は意識した途端小刻みに震え出し、慌ててそれを投げ捨てた。


オレ……今、何、した……?


カランカランと乾いた音を立てながら回転して転がっていくその様子に、あ……っと我に返り、大石、ゴメン、そう心の中で謝罪する。


ふと蘇る光景、振り上げられたラケットが何度も自分を殴りつける。
全身から一気に血の気が引いていき、嫌な汗がじんわりと滲む。


ドクンと押し寄せる恐怖に、慌てて小宮山を抱きしめる腕に力を込めると、そのフローラル系の香りに少し冷静さを取り戻した。


今はオレのことなんて何だっていいんだって、そうすうーっと大きく息を吸って小宮山に意識を向けると、オレの腕の中で小宮山はガクガク震えていた。


その小宮山の様子に、取り戻した冷静さはすっかりどこかに飛んでいき、カッとしてその女達を睨みつける。


「おまえら、小宮山に何してんだよ!?」


そう叫ぶ声に一瞬怯んだそいつらだけど、誰?璃音の彼氏?そう女達はみんな余裕の笑みを浮かべる。


何だっていいだろ!?そう叫びながら、そいつらの矢面に立たないように小宮山を背中に隠すと、小さく震える小宮山がオレのシャツの裾をギュッと握りしめた。


そんな小宮山に視線をむけると、目があった小宮山はビクッと身体を振るわせて、慌てて、ごめんなさい……!そうその手を離すから、さっとその手を取って前に引き寄せる。


「そんなに怯えんなって……」


そう小さく呟いて腹の前でギュッとその手を握りしめると、ちょっと戸惑った小宮山は、小さく震えながらもう片方の手もオレの腰に回して、背中にその細い身体を寄せた。

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