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【テニプリ】闇菊【R18】

第37章 【サイゴノオモイデ】




ガシャン!!


うっかり持っていたグラスを落とし、深夜の部屋に大きな音が鳴り響く。
やっちゃった……そう慌ててグラスの破片を拾い集めると、大丈夫……?そうお母さんが顔を覗かせる。


「ごめんなさい、起こしちゃったね……」


破片、気をつけてね、そう心配そうな顔をするお母さんから雑巾を受け取ると、苦笑いしながらサッと床にこぼれたアイスティーを拭いて、掃除機で後始末をする。


だけどなんだろ、さっきの感覚……なんか胸騒ぎがする……


突然、胸を襲った言いようのない胸騒ぎ。
思わず落として割れたグラスに不安感を募らせる。


慌てて携帯を確認して、急いで呼び出した英二くんの名前。
それから、呼び出してどうするって言うの……?そう自分に嘲笑う。


私から連絡できるはずないじゃない……


セフレの時だって、同じ委員会だったときだって、英二くんに私から連絡することなんて、いつだって許されなかった。


それどころか声をかけるのも……ううん、目を合わせるのですら拒まれているというのに、今更、こんな根拠のない胸騒ぎくらいで、なに連絡しようとしているの……?


本当、何やってるんだろ……なんて窓辺から空を眺める。


すっかり癖になっちゃったな……


英二くんのことを思うとき、ついつい空を眺めるようになったのは、明らかに彼の影響……
あの寂しそうな目を思い出して、また胸が締め付けられる。


英二くん、今頃、何しているのかな……?


鳴海さんと一緒なのかな……なんて思ってまた涙がポロリと頬を伝った。


ふーっとため息をつくと涙を拭い、立ち上がるとリビングへとむかう。
ガラスの破片を片づけて、かわりのグラスを用意すると、戸棚から紅茶の葉を取り出してアイスティーをもう一度いれなおす。


いつもの窓辺に座ると英二くんの声が聞こえた気がして、また夜の星空を眺める。
そんなはずないのにね……そう自分に苦笑いしてため息を落とした。

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