第35章 【ナツヤスミマデ】
「英二!!あんたもうすぐ期末でしょ!勉強しなさい!」
体育祭が終わると期末テストが目前に迫り、成績の良くないオレにかーちゃんの檄が飛ぶ。
「今更やってもムリー……」
「あんた、んなこと言ってないで不二くんにでも教えてもらいなさいよ!!」
不二はねー、前にヤマはってもらったとき、わざと全然違う範囲を教えてきたから信用できねーの!なんて頬を膨らませて言うと、試験範囲すら覚えてない方が悪いでしょ……、なんてかーちゃんがため息をつく。
中学の頃は大石がいたから良かったんだけどなー、乾のは理屈っぽくて意味不明だし、なんてソファーに身体を投げ出して頬を膨らませる。
「だったら小宮山さんに教えてもらえばいいじゃない!」
突然横から口を挟んだねーちゃんに、ピクッと顔をひきつらせる。
なんでそこで小宮山さんがでてくんのさ、そう苦笑いでその場を切り抜ける。
「そりゃ学年首席の彼女だもん、勉強に身も入るってもんでしょー?」
そう言ってニヤニヤ笑うねーちゃんと、あら、それ、いいわね、なんて盛り上がるかーちゃんに内心舌打ちしながら、だから彼女じゃないし、小宮山さん、オレに教えるほど暇じゃないよん?なんて笑顔でそれを誤魔化す。
「ねー、また小宮山さん連れておいでよー?」
「そうね、母さん、もっとゆっくり話してみたいわね」
またって、連れてきたのは不二じゃん、そう思いながら、すっかり小宮山を彼女と決めつけている2人に首をすくめてため息をつく。
あー、面倒だからマジで彼女でも作っちまうかなー……
オレが他の子と遊んでも文句言わねー彼女、どっかにいねーかな……?
セフレのやつらなら言わないだろうけど、だからって個人情報知られたくねーし、学校関係はとーぜん論外……
やっぱそんな都合のいい女なんている訳ないか、そう苦笑いをながら、もうオレ、部屋で勉強するねー、なんて言ってリビングを出た。