第32章 【ゲキタイ】
教室につくと、小宮山は上靴と同じように落書きだらけの机に平然と座っていて、それから小林達に、彼氏じゃない人ともあんなことできるのってからかわれて、はっきり否定できずに俯いてた。
そりゃ、否定できないかもんないけどさ、実際不二とつき合ってないし……
でも適当に話あわせときゃいいのに、ま、そこが小宮山らしいんだけどさ……
教室の隅では容疑者の女子達がクスクス笑っていて、周りはみんな遠巻きに小宮山とそいつらを見ていた。
誰もなんも言わないのかな?ま、オレも人のこと言えないけど、そんな風に思いながらため息をつくと、登校してきた市川が小宮山を見て慌てて教室から出ていって、それからすぐに戻ってきて小宮山に駆け寄った。
すると小宮山、相変わらず市川をきつく拒否しちゃって、あー……またやったよ、そう思って見ていると、市川、今回は引かないで小宮山とみんなに説教してて、カッコイーなんて見惚れていると、不二に肘でつつかれた。
「英二、ぼーっとしてる場合じゃないよ、消されたらこっちの計画が台無しなんだから」
あ、そっか、そう思って慌てて後ろのドアからそーっと入ると、オレに気がついたクラスメイト達にシーって人差し指で合図して、それから容疑者の女子達の机を順番に回りノートを回収する。
全員分回収を済ますと、ちょうどそいつ等が証拠だせって言いだしたから、ナイスタイミングじゃん?そう思いながら、ここにあるよん!そう言ってそれを放り投げた。
するとオレを不安そうにみる小宮山と目があって、んな目でみんなよ、そうイライラしながら目を逸らした。
乾の鑑定により、案の定、あいつらが犯人って決定して、不二の説得という名の脅しで観念した女子達と、ついでにからかってた小林達は小宮山に謝罪をすませる。
無事、円満に解決したのを見届けると、誰にも気付かれないようにこっそり後ろのドアから出る。
とりあえずコレで小宮山への嫌がらせはなくなんだろ、そう思いながらふーっとため息をついた。