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【テニプリ】闇菊【R18】

第31章 【シンユウ】




ふーっとため息をついて、二度三度と深呼吸をしてバクバクする心臓を落ち着かせる。
大丈夫、大丈夫、もうナオちゃんとも香月くんとも関係ないんだから、そう自分に言い聞かせて空を仰ぐ。


どうして中学の頃にあんな目にあったのか、あれから二年という月日が過ぎた今でも正直わからない。
いじめられる方にも原因がある、よくそう聞くから、私に悪いところがあったのかもしれない。


確かに人と上手くコミュニケーションがとれないから、相手をイライラさせてしまう自覚はある。
同じ事をしても相手の印象でその内容への評価も変わるから、やっぱり私の性格が原因だったんだろう。


ナオちゃんが言ったように妬みもあるのなら、せめて見た目では目立たないように、髪を地味に結んで縁の厚いメガネで顔をかくした。
もともとの性格と、中学の体験から人間不信になっていて、ひとりでいることが心地よかったから、安心して高校生活を送っていた。


英二くんの事があって、また大好きな人が出来て、そのおかげで素顔がバレたらやっぱり嫌がらせされる羽目にもなって、でもまったく親しくもない人からの嫌がらせなんて全然平気だった。
実際、私がやられてきた事に比べたら、内容的にも大したことなかったってこともあるんだけど。


多分、今日、学校に行ったら、今までの嫌がらせとはレベルが違ってくるだろうから憂鬱ではあるけれど、だからといって怖くはない。
本当に怖いのは、大好きな人から受ける攻撃だから……だから今日、英二くんの機嫌が直っているかどうかの方がずっと怖い……


「英二くん……ちゃんと今日も笑顔で挨拶してくれるよね……?」


不安に押しつぶされそうな胸をギュッと抑えて空を眺める。
あの日、英二くんが私に終わりを告げようとしたときと同じ嫌な予感が胸を襲う。


大丈夫だよね……?
先日だって無視された次の日、すぐに求めてくれたもの……


もう一度空を仰ぐと、大きなため息をついた。

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