第20章 【ソシテワタシハ】
英二くんは私達のことを、本当に包み隠さす不二くんに説明していて、正直、そんなことまで話すんだ……ってびっくりすると同時に、でも不二くんなら聞く権利あるかって納得する。
英二くんの話す、耳を塞ぎたくなるような長い話を、不二くんは何も言わず黙って聞いていて、全てを話す英二くんの声は少し低い、まるで私に終わりを告げようとした時のような雰囲気で、2人のその表情はここからは伺えないけれど、きっとどちらも覚悟決めた顔をしているんだと思う。
【すべてを話す覚悟】
【すべてを聞く覚悟】
それはその内容が重くなれば重くなるほど、どちらの心にも大きな影響を残す。
それが良い方向にむかえば良いけれど、時として、今まで築いてきた信頼関係だとか、お互いを思いやる気持ちだとか、全てをぶち壊して憎悪に変えることもある。
それでもそのリスクをおかしてまでも、人は大切な人の心の中を知りたいと願い、それに応えたいと思う。
不二くんは多分、私のことを思ってではなく、英二くんの心配をしての行動だろう。
私のことだったら、きっとこんな話、ずっと黙ったまま聞いていられない。
途中でもういいよって終わらせて、それできっと怒り出す。
英二くんも自分の知られたくないことを、包み隠さす全てを話すのは、きっと相手が不二くんだから。
それは不二くんなら全てを話しても、ちゃんと受け止めてくれるのを信じているから。
じゃなければこんな話し、絶対人になんか話せない。
親友、なんだね……
自分の頭に思い浮かんだその言葉に、ズキンと鈍い胸の痛みを覚えて、その胸をギュッと拳で押さえつける。
今はそれどころじゃないでしょ……?そう自分に言い聞かせ、ブンブンと首を横に振ってその胸の痛みを追い払い、それからもう一度耳を澄ませて2人の会話に集中した。