第114章 【アノヒノヤクソク】
「・・・璃音、オレさ、璃音とソラにとって、誇れる人になれたかな?」
目を見開いて、ソラから英二くんへと視線を移す。
璃音、ここで言ったじゃん?、そう英二くんが静かに続ける。
「将来、どこかでオレの噂を聞いた時に、誇れる男になってほしいって・・・」
オレ、あの璃音の言葉をずっと支えにして生きてきたんだ・・・、そんな英二くんの言葉に涙が溢れる。
私に見ていてもらいたいからアイドルになった、そう再会したとき必死に拒む私に、強い口調で英二くんが訴えてくれた。
自分の都合を押し付けて消えた私の勝手な願いに、英二くんは精一杯応えたくれた。
誇れる、なんてもんじゃない・・・
アイドルとして頑張ってるだけじゃなく、あんなに苦しんでいた過去と向き合い、一生許せることはないと思っていた本当のお母さんと和解し、全てを乗り越えた・・・
こんな素晴らしい男性、世界中探したって、他にどこにもいない・・・
「ずっと誇りですよ、英二くんは、私の・・・私とソラの誇りです。最初から・・・」
最初から・・・あの雨の日の東屋でネコ丸を助けて抱きしてめいたあの時から・・・
自分の過去にもがき苦しみながらも、それでも精一杯生きている英二くんを、ずっと・・・
「璃音・・・幸せにするから、璃音とソラを今度こそ必ず・・・幸せにするから、だからずっとオレの傍にいて・・・?」
「・・・ずっと傍にいますよ、英二くんに『いらない』って言われるまで、ずっと・・・」
言わない、もう二度と・・・、ゆっくりと英二くんの顔が近づいてきて、ふわりと唇が重なり合う。
すぐに離れてもう一度・・・
溢れる涙を英二くんが指で拭ってくれる。
そっと英二くんの胸に頬をよせた。