第18章 【メバエタオモイ】
「ハアッ……小宮山っ……クッ!」
そう吐息混じりに英二くんは苦しそうな顔をしたと思うと、ぐたっと私の身体にもたれかかる。
そのずしっとした重みに幸せを感じながら、荒く息をする彼の肩越しに見上げた空はどこまでも眩しく輝いている。
なんの遮るものもないその空はいつもより近くて、でもどこまでも遠くに感じて、それはまるで英二くんのようで、思わずその空に手を伸ばす。
そんな私を英二くんは事後の処理をしながら不思議そうに見ていて、どったの?ってたずねるから、なんでもないんです、と慌てて起きあがった。
身なりを整えながら、ただ、空が近いなって思って、でも遠くて……そう空を見上げながら答えると、英二くんも空を仰ぎ、ん、それ、オレも時々やるよ、そう答える。
絶対届くはずないのに、バカみたいだよな……そう寂しそうな目で続ける英二くんが、そっと私の身体を引き寄せて、そのまま横になり一緒に空を見上げる。
やっぱり腕枕って気持ちいいな……そう思いながら彼に寄り添い頬を寄せると、英二くんはいったい何に手を伸ばしているのかな……?なんて思いながら瞳を閉じた。
キーン コーン カーン コーン……
一時間目の始業の鐘が鳴り響き慌てて起きあがる。
別にいーじゃん、そう言う英二くんに、ダメですよ、そう立ち上がると、流石だねー、なんて苦笑いして彼も起きあがる。
急いではしごを降りる途中、小宮山!と上から見下ろす英二くんに声を掛けられて、はい?そう不思議に思って見上げると、今度さ、また家に行っていい?そう英二くんが問いかける。
ちょっとびっくりして、でも凄く嬉しくて、そっとはにかんで頷くと、ニイッと笑った英二くんが上からよっと飛び降りて、それからはしごの途中の私をひょいっと持ち上げストンと下ろしてくれる。
やっぱ、ゆっくり楽しみたいじゃん?そういう彼の言葉に顔を赤くすると、ほーんと、小宮山はすぐ顔にでるねー、そういって英二くんは笑った。