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【テニプリ】闇菊【R18】

第111章 【ホコレルヒトニ】




「・・・じ・・・英二、着いたわよ、英二ったら!!」


遠くから聞こえるその言葉に、ゆっくりと目を開ける。
着いた・・・?、ぼーっとする頭のまま辺りを見回すと、懐かしい風景に目を細める。
ふわーっと大きな欠伸をして、んーっ背を伸ばす。


「明日の夜はどうする?、迎えに来る?」
「いんや、大丈夫、ひとりで帰れるよん!」


シートベルトを外しバッグを背中に引っ掛けると、ドアを開けて空を見上げる。
懐かしい垣根、門構え、赤い屋根の大きな家・・・
何も変わらなくて、胸が熱くなる・・・


学校を卒業してから、仕事に便利な都心のマンションで一人暮らしを始めた。
最初の頃はしょっちゅう帰ってきていたけれど、忙しくなるにつれてなかなか帰ってくる暇もなくて・・・


「もうマスコミはいないと思うけど、気をつけなさいよ!、尻拭いも大変なんだからね!」
「ほいほーい!、大丈夫だって、菊丸様を信用しなさい!」
「信用出来ないから言ってんの!、この間のインタビューを忘れたの?」


本当にアイドルとして自覚が足んないんだから・・・、そう呆れ気味にため息をつくマネージャーに笑顔を向けると、両手でハートを作りパチンとウインクをする。
私にファンサしてどうするのよ?、なんて首を振りながら苦笑いをされた。









「ただいまー!」


玄関の鍵を開けて声をかけると、おかえり、英二!!、そうバタバタと激しい足音が近付いてくる。
ああ、帰ってきたんだなー、なんて靴を脱ぎながら聞くその音に、懐かしくて胸がいっぱいになる。


「・・・ねーちゃん、今日、会社はー?」
「有給よ、有給!、英二が帰ってくるって言うから休みとったのよ!」


そんなんで有給ー?、不良OLー、そう言って振り返ると、だってあんた明日には帰っちゃうんでしょ?、なんてねーちゃんが頬をふくらませた。

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