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【テニプリ】闇菊【R18】

第110章 【アイシテル】




良かった、ほっと胸を撫で下ろすと、振り返った小宮山が顔を固まらせる。


「璃音・・・」


耳元で聞こえた、不二の切なそうな声・・・
ハッとして振り返ると、不二も辛そうな顔で小宮山を見つめている。


その瞬間、蘇る小宮山と不二の姿・・・
オレが謝りに行った時の、親密なふたりの・・・


あん時は、不二、小宮山のこと名前で呼んでなかったくせに・・・
またオレの知らないところで、ふたりの時間はしっかり進んでいたことを思い知らされて・・・


「小宮山!!」


小宮山の視線が不二からオレへと移動する。
深々と下げられる頭・・・


「小宮山!!そこにいて!!必ず、オレが行くまで待ってて!!」


電車が通り過ぎてしまったら、もう小宮山がいなくなっている気がして・・・
可能な限りの声を張り上げる。
頼む、届いて・・・電車や踏切の警笛音に負けないで・・・


「小宮山!!!小宮山!!!」


英二!、前のめりになるオレを不二がもう一度制止する。


「璃音・・・」


その瞬間、蘇る不二の呼び声・・・
オレは、一度も名前で呼べなかったのに・・・


グッとぎりしめる拳に力が入る。


「小宮山・・・」


踏切の向こう・・・
頭を上げた小宮山が、そのままくるりと背中を向ける。


「小宮山、行っちゃダメだ!!小宮山・・・小宮山・・・璃音!!!」


その瞬間、璃音が目を見開いて振り返った。
嫌だ、このまま、もう一生会えないなんて!
オレの傍から、璃音がいなくなってしまうなんて!


だって、オレ、こんなにも璃音が大好きなんだ!!


・・・違う、好き、なんて言葉じゃ全然足んない・・・
この気持ちは、好きなんて軽いもんじゃなくて・・・


「璃音、愛してる・・・!!!」


その瞬間、璃音の目から大量に溢れ出した涙・・・
ハンカチでそれを拭うと、璃音が必死に涙をこらえ笑顔を作る。


ゴオオオ・・・と目の前を通過する電車がその笑顔を隠してしまう直前、声は聞こえなかったけど、確かに見えたその口元・・・





私も、愛してる___













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