第108章 【セイナルヨルニ】
目が覚めると枕元の携帯に手を伸ばす。
ああ、そろそろ起きなくちゃ、そうディスプレイの時刻を確認しながらゆっくりと起き上がる。
うう、寒い・・・っ!
暖かい布団から出ると、いつもより部屋がひんやりしてる気がして、身体を縮こめてカーディガンを羽織る。
今日は一段と冷えるな、なんて思いながら、勇気をだしてベッドを抜け出し、窓辺のカーテンをサッと開けた。
「わぁ・・・ホワイト・クリスマスだ・・・」
窓の外にはチラホラと小雪が舞っていて、12月24日の街並みを白く染めていた。
今年は雪が多いな、なんて、その光景を複雑な想いで眺める。
あの日も雪が降っていた・・・
英二くんを傷つけて、全てが終わったあったあの日・・・
すごく辛くて、でも、周くんが助けに来てくれて・・・
とても辛かったけど、それと同じくらい暖かい・・・
英二くんが謝りに来てくれた日も・・・
周くんと気持ちを確認し合えた・・・
♪
携帯が短い通知音を鳴らして、LINEが届いたことを知らせる。
周くんだ!、そう思いながら開くと、やっぱりそれは周くんからのメッセージで、おはよう、ホワイト・クリスマスだね、そう同じ景色を見て同じ感想を思えたことに頬が緩んだ。
「もしもし、周くん?」
「やぁ、おはよう、璃音。」
少しためらってから周くんに通話をかける。
璃音から通話してくれるなんて、珍しいね、そんな周くんの声に、私もちょうど同じこと思ったから、そう照れくさく思いながら答える。
「今年は雪が多いですね・・・」
「そうだね、ウインタースポーツが楽しめそうだよ。」
周くん、ウインタースポーツが得意なんだっけ・・・
一緒にスキーに行こう、そう誘ってくれる彼に、私じゃ一緒に楽しめませんよ、なんて苦笑いで答える。
僕が教えてあげるよ、そういう彼の言葉に、頑張ってみようかな、なんて前向きな返事をした。