• テキストサイズ

【テニプリ】闇菊【R18】

第107章 【ヌクモリヲモトメテ】




「桃!お前も心配して来てくれたのか!?」
「へ?、あ、まぁ、そんなところっす!」
「だったら、そんな所にいないで、英二の家に来ればよかったのに、英二だって会いたかったと思うぞ?」
「そうっすね・・・落ち着いたら・・・」


大石さんと話をする桃城くんに構わずに、それでは失礼します、そう言って頭を下げる。
歩き出した私を、あ、鳴海、待てって、なんて慌てて桃城くんが追いかけてくる。


「だから鳴海はつれないんだよ!送っていくぜ!」
「・・・ねぇ、桃城くん・・・」


桃城くんが私のあとを着いてきているのは分かっていた。
大石さんの連絡先を聞いてから、きっと気になって仕方がなかったんだと思う。


分かっていて、今まで気が付かないふりをしたのは、桃城くんとちゃんと向き合わないといけないと思ったから・・・
桃城くんの明るさは、私を癒してくれるけど、それに甘えるわけにはいかないから・・・


「・・・私、英二先輩が好き。」


私のその言葉に、桃城くんが足を止めた。
その顔を真っ直ぐに見つめて、視線をそらさなかった。


「忘れなきゃいけないんだけど・・・気持ちをコントロールするのって、難しいわね・・・」


英二先輩と小宮山先輩が幸せなら、もっとすんなり忘れられたのかな・・・、そう呟く私に、わかるぜ、そう桃城くんは一言だけ答えると、行こうぜ?、そう言って私の手をとり歩き出す。


「・・・バカね。私、今、桃城くんのこと振ったつもりなんだけど?」
「だから、分かるぜって言ったろ?」


桃城くん・・・
だから、この手に甘える訳にはいかないのに・・・


私の手を引いて歩き出す桃城くんの背中を眺めながら、掴まれた手の温もりに胸を痛ませる。


「・・・後悔しても、知らないわよ?」
「別に構わねーよ、お前が英二先輩を好きなことなんて、ずっと前からしってんだ。」


・・・振り払えばいいのに・・・
これじゃ、私、小宮山先輩とやってること、同じね・・・


複雑な感情のまま、桃城くんの隣を歩き続ける。
ついたため息が辺りの空気を白く染めた。




~鳴海side
/ 1433ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp