第104章 【ホウカイ】
小宮山だけは違うって信じてたのに・・・
オレをひとりにしないって、裏ぎんないって信じてたのに・・・
「きったねー女・・・」
小宮山を蔑みながら吐き捨てた言葉・・・
オレの精液にまみれて、呆然とする顔・・・
その胸に散らばる、不二がつけたキスマーク・・・
結局、小宮山も、あの女と同じじゃん・・・
小宮山と不二が帰るところを目撃してから、ずっと机に突っ伏していたけれど、いつまでもそうしているわけにもいかなくて・・・
クラスメイトたちが遠巻きにオレの様子を伺っているのはわかったけど、もう「元気で明るい菊丸英二」を演じる気にもならなくて・・・
結局、ぼんやりと外を眺め続ける。
「え、英二、俺らこれからカラオケ行くんだけどさ、お前も・・・」
「・・・いんや、オレいいや。」
「そ、そっか、んじゃ、ボウリングとか・・・」
「いい、今日は、マジでほんと・・・」
そんなオレにクラスメイトたちが恐る恐る話しかける。
気を遣ってくれているのは分かってるけれど、やっぱり笑顔を作ってはしゃぐ気にはならなくて・・・
「英二ー、あんた、不二周助に小宮山璃音、寝取られたんだってー?」
みんなが気を遣ってくれている中、ズカズカと教室に入り込み、はっきりと地雷に触れてくるのは元クラスメイトの女。
いつも顔を合わせれば、バカ言い合いあうような関係の・・・
「・・・なんだよ、笑いに来たのかよ?」
「ううん、間抜けづら見に来たー!」
それって同じことじゃん、そう言って呆れながらため息をつくと、可哀想ー、慰めてあげようかー?、なんてそいつはますますバカにしてくる。
・・・なんだよ、オレ、本当は気づいてるっての。
おまえがオレのこと、好きだってことくらい、本当は・・・
「・・・ヤらせてくれんの?」
イラッとして、視線だけそいつにむけて放った言葉・・・
その瞬間、教室内が静まり返った。