第102章 【サクジョ】
「失礼します、小宮山さんは体調不良で早退します。代わりに荷物を取りに来ました。」
授業も終盤に差し掛かったころ、教室のドアをノックして不二が入ってくる。
ざわつく教室、先生が不二に対応する。
体調不良で早退・・・?
さすがの小宮山も、あんなかっこじゃ教室になんか戻ってこれねーか・・・
最後、オレが盛大にぶちまけた欲望にまみれた小宮山の様子を思い出す。
途端、胸に広がる嫌悪感・・・
汚ねぇ・・・、あからさまに顔に出して、チッと舌打ちをする。
相変わらず感じる痛い視線・・・
その中に不二のものも強く感じたけど、無視してずっと外を眺め続けた。
先生と話をしていた不二が小宮山の席に向かい、二言三言、市川と言葉を交わした後、荷物を持って教室から出ていく。
「ほら、お前ら、静かにしろ、授業を再開するぞー。」
渋々小さくなる雑音・・・
みんな納得いかない様子のまま、淡々と授業が再開される。
そして授業が終わる直前、不二が小宮山を支えるように寄り添いながら帰っていくのが見えた。
その瞬間、不二が視線だけで振り返る。
相変わらず・・・ううん、さっきよりさらに鋭い目付き・・・
ガンッ___!
思わず怒りのまま机を殴ると、シンと教室内が静まり返る。
菊丸、静かにしろ、ゴホンと咳払いをした先生に注意される。
やっぱ、窓際の席はやめとけば良かった・・・
もうそれ以上、ふたりの姿を見たくなくて、ガバッと机に突っ伏して目を閉じる。
目を閉じればもう見えないはずなのに、鮮明に蘇るその後ろ姿・・・
しらねーよ、あいつらなんか・・・
もうオレにはカンケーないっての・・・!
何度も心の中で叫び続けた。