第100章 【コウショウ】
「でも……ご迷惑じゃ……?」
「どうして?、僕はいつだって小宮山さんの味方だって言ってるよね?」
申し訳なさそうに僕を見上げる小宮山さんを、安心させるように笑顔を向ける。
僕だって、正しい判断ができるか分からない……
でも、一人で考えて間違った答えしか出せないなら、二人で一緒に考えて乗り越えていけばいい……
小宮山さんの力になりたいんだ、そうじっと見つめていうと、彼女は少し戸惑った顔をして、それから、ありがとうございます、そう僕にぺこりと頭を下げた。
「じゃ、そろそろ帰ろうか」
小宮山さんの気持ちが落ち着いた後、ラブホテルをあとにする。
後で必ず支払いますから、そう会計をする僕に小宮山さんは何度も謝ってくれるけど、だから英二のために二人で協力しようって言ったよね?、そう言ってその申し出を断る。
「でも、それじゃ……」
「……そんなに言うなら、身体で払ってもらおうかな?」
そう僕が小宮山さんの顔をじっと見つめて言うと、あ、え?、なんて彼女は真っ赤な顔で視線を泳がせる。
冗談なのに……そう言って僕がクスクス笑うと、もう、不二くん!、なんて小宮山さんは頬をふくらませた。
「とにかく、本当になにかあったら、必ず僕に相談して……?」
「……はい、ありがとうございます、あ、あと、あの、今日のことは、その、英二くんには……」
「うん、大丈夫、僕だってこんなこと英二に言えないよ……それからさっきの写真も、責任もって処分するから安心して?」
「すみません、何から何まで、ありがとうございます」
安心したように頬を緩ませる小宮山さんと、夜の繁華街を肩を並べて歩く。
もうこれ以上、彼女が辛い目に遭わないことを願いながら、隣を歩く小宮山さんの横顔を、何度も眺める。
あの?、その度に小宮山さんは不思議そうに首を傾げるから、何でもないよ、そう否定する行為を、彼女の家に着くまで何度も繰り返した。