第94章 【ドウカシアワセニ】

そもそも元はと言えば、オレに気があるのを分かっていて、芽衣子ちゃんを利用した挙句、さんざん振り回して……
そんで、同情で付き合ったりして、結局、小宮山を忘れられなくて、そんなオレの態度が芽衣子ちゃんを追い詰めたわけで……


だから、本当に悪いのは、全部、中途半端なオレのせいで……








「……芽衣子ちゃん、オレ……その、ゴメン……！」


それでは、失礼します、そうもう１度頭を下げて出ていこうとしてた芽衣子ちゃんに、意を決して謝った。
そのオレの言葉に、芽衣子ちゃんはピタッと身体の動きを止めると、数秒後、ゆっくりとオレの方に振り返った。


「……その謝罪は、何の？」

「……オレが悪かったんだ……芽衣子ちゃんを裏切って……追い詰めて……なのに、ひどい事言って……だから……」


相変わらず無表情のままの芽衣子ちゃんは、顔だけじゃなく身体の向きも変えると、開けかけたドアを閉めてオレの方に、数歩、歩み寄る。


「……その気もないのに、同情で付き合ったりするからですよ？」

「ん……ゴメン……」

「……そんなに私、可哀想でしたか？、優しい自分に酔いたかったんですか？」

「……そんなつもりはなかったんだけど……ほんと、ゴメン……」


何を言われたって、言い返せない……
何を言ったって、言い訳にしかならない……


オレが芽衣子ちゃんを追い詰めて、そんで傷つけたことに、変わりはないんだから……


「……もう、間違わないでくださいね？」

「へ……？」

「誰が一番大切なのか……誰を一番幸せにしたいのか……」

「……あ、ん……分かってる……」


オレが一番大切なのは……
一番幸せにしたいのは……


小宮山だから……


小宮山とじゃなきゃ、オレも幸せになれないから……
オレが幸せじゃないと、小宮山も幸せにできないから……