第92章 【ケツイトマヨイ】
『これからは本当に大切にするから……もっかい、オレの彼女になってよ?』
『……いつだって言ってるじゃないですか、私は英二くんに「いらない」って言われるまで、ずっとそばに居ますよ?』
英二くんがまた私を彼女にしてくれた……
何度もキスをしてくれて、それからギュッと抱きしめてくれた……
英二くんのご両親やお姉さんたちにもとても良くしてもらって、こんなに幸せで本当にいいのかな?って泣きそうになった……
フワフワする……頬に触れる感触……
なんだろ……?
それはお布団ではない、柔らかい何か……
ゆっくり開けた目に飛び込んできたのは、頬に触れるフワフワの正体……
「……おはよ、大五郎……」
そっと手を伸ばして大五郎を引き寄せる……
本当にフワフワする……
そのフワフワのお腹に頬ずりすると、英二くんの香りが鼻の奥をくすぐった。
って、そう言えば、どうして大五郎がここに……?
確かに英二くんの家に泊まったんだから、大五郎がいるのは不自然ではないけれど、私はお姉さんたちの部屋にお布団を敷いたはずで……
英二くんが連れてきてくれたのかな……?
今、何時だろう……
大五郎を抱えながら起き上がると、ズキンと頭に走る鋭い痛み……
痛い!なんで……?、そう頭をおさえて辺りを見回すと、そこはお姉さんたちの部屋じゃなく、本当に英二くんのベッドの上……
な、なんで……?
意味がわからず、必死に寝た時のことを思い出すけれど、どうしてもどうやって寝たのか全然思い出せなくて……
確か昨日はお風呂に入ってから、久しぶりに英二くんに髪を乾かしてもらって、それから英二くんと乾杯して、それが実はアルコールだって分かって……
英二くんに注意してたら、家族の方も騒ぎを聞きつけやってきちゃって、それから……
ダメ、全然、思い出せない……