第91章 【シアワセナヨル】
ったく、笑い事じゃないっての!、そうまだむかつきながら小宮山に目を向けると、小宮山は相変わらず幸せそうに眠っていて……
でも、まぁ、小宮山が幸せそうだから、この続きはまた次の機会に、でいっか……
小宮山の隣に潜り込むと、小宮山は寝返りを打ってオレの胸に頬をすり寄せる。
その寝顔に軽く唇を寄せて、それからギュッとその身体を抱きしめた。
またこうして小宮山を腕の中に抱いて眠れる喜びで、今はただ胸がいっぱいで……
自分から手放したくせに、ほんと調子いい話だよな、なんて苦笑いをしながらも、この状況に感謝して……
「小宮山、ほんと、あんがとね……」
女なんてただの性処理の道具としか思っていなかったオレが、こうやって同じベッドで抱きしめているだけで、こんなにも幸せだって思えるなんて、改めて考えると本当にすごい話で……
そんなオレを救ってくれた小宮山を裏切って、他の女のところに行ったのに、それでも小宮山は許してくれた……
「好きだよん……オレ、小宮山が、すげー、大好き……」
もう二度と口にできないと思っていた……
声にする資格ないんだって、ずっと空に向かって必死に口だけ動かしていた……
もう泣かせないから……
大切にするから……
オレが、全力で小宮山を守るから……
だから、小宮山は、ずっとオレの側にいて……?
ゆっくりと目を閉じる。
夕方までさんざん寝たのに、懐かしい小宮山の体温はオレをすぐに夢の世界へと運んでくれる。
「おやすみ、小宮山……」
この幸せが永遠に続くんだって信じて疑わなかった夜は、静かに更けていった____