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【テニプリ】闇菊【R18】

第3章 【スベテノハジマリ】




「あぁぁぁぁ!!英二ぃーーー!!!」


……英二……?


すぐに絶頂を迎えたらしきその女の人の声に、思わず身動きを止めて振り返る。


まさかね……?
偶然だよね……?


さっきとは違う理由で心臓がバクバクと動き出す。
恐る恐る立ち上がり、そっと茂みの奥をもう一度覗いて見たものは、満足そうにうっとりとした女の人と、それからその向こうに見えた男の人。


外跳ねの赤茶色の髪
ぱっちり二重の大きな目
頬に貼られたばんそうこう


……やっぱり……


菊丸、英二……くん……


そう、それはネコ丸を優しく包み込んでいたタオルの持ち主。
あの雨の日から私の心をつかみ離さない想い人……


はっきりそう認識したその瞬間、ゆっくりと顔をあげた彼と思い切り目があって、やだっ!そう思ったけれど、私の身体はまるで金縛りにあったかのように動かなくて……


動けずにいる私を見つめる彼の口角がゆっくりと斜めに上がり、そしてニヤリと笑う。
その見慣れぬ歪んだ笑顔に背中がゾクッと震えた。


その震えを合図にしたかのように、慌ててその場から走って逃げだした。


足元に落とした本を拾うのも忘れて___

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