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【テニプリ】闇菊【R18】

第88章 【キクマルサン】




「……英二先輩以外は誰だってイヤ……だけど……」


これはありがたく使わせてもらうわ……、そう言って桃城くんの手からスポーツタオルを受け取ると、そっと両頬を包んで歩き出す。


「あ、ああ……!俺、家まで送るよ!」

「……すごく古くてビックリするわよ……」

「家なんて雨風しのげりゃ上等だぜ!」

「……これだから、無頓着な人は嫌い」

「げっ、あ、いや、まぁ、清潔に越したことはねぇーよな、うん!」


すっかりぬるくなっているそのタオルからは、桃城くんの香りがして……
その香りをかいでいたら、色々な想いから涙が溢れてきて……


慌てて気付かれないように、そのタオルで涙を隠す。







『あきらめるな!』


もう1度、脳内で響いた英二先輩の声……
ああ、そう言えば……


あの時、私たち、英二先輩に一緒に励まされたんだったわね……


タオルの隙間から桃城くんの顔をちらっと伺いみる。
桃城くんはあの試合の時のように、晴れ晴れとした顔をしていて……
その笑顔は、私の心を少しだけ解してくれたようで……


背中からそんな私たちを見送る不二先輩の、クスクスという笑い声が聞こえた____





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