第87章 【ホットケナイ】
「放っとけねーなぁ……放っとけねーよ……」
そう呟いた桃城んくが、そのあとを追っていく。
おい、桃城!、それを咎める海堂くんの声……
ザワつく保健室内、色々な思いが渦巻く中、英二くんは周りの様子なんて全く目に入らないようで……
「……ゴメン、小宮山……オレのせいで……ゴメン……」
頭を抱えて項垂れながら、英二くんはそう何度も私に、謝っていて……
その目からは次々と大きな涙が溢れていて……
「大丈夫ですよ……本当に大丈夫ですから……」
鳴海さんのことも気にはなるけれど、私に出来ることなんか何もなくて……
それに何より、私にとって英二くんが一番大切で、彼のこの自責の念を軽くしてあげることが最優先で……
でもどうしたら良いかわからないまま、ただその身体を抱きしめながら、ずっと「平気ですから」そう何度も繰り返し続けた。