第21章 取り戻す
~トバリシティ~
「この子の力でツグミさんの心を取り戻せるかもしれません。可能性は…五分五分ですが」
確かに実際試したことがないからわからない…でも可能性はある
「ありがとう。キミが協力してくれるだけでも嬉しいよ。…ところで…」
「?」
「何で…レインのこと気にかけるの?お父さんを刺して逃げたりしたのに…」
ボクがそう言うとユリアは少し俯き悲しい顔しながら答えた
「私は…お父さんのことが大嫌いでした。いっつも仕事一筋でお兄ちゃんに酷い仕打ちをして…私や姉には無関心でした。母親もそんな父親に絶望して家出ていったし…」
「ユリア…」
「私…お兄ちゃんの優しい所、知ってます。だから…止めたいです」
そう言ったユリアの顔は真剣その物だった
と、その時
ガタガタガタガタ…
「!?」
ボクのモンスターボールに入ってるゼクロムが騒ぎ始めた
「Nさん?」
ボクは急いで家を出た
幸い、雨は止んでいる
「ゼクロム?どうしたんだい?」
ボクはゼクロムをボールから出し、問い詰めた
『キュレムがイッシュ地方で苦しんでいる…』
「!?!?」
「Nさん…キュレムって?」
すぐに後を追ってきたユリアがボクに言った