第8章 離れそうな心取り戻すため
仕事が終わって急いで帰る準備をする
コンコン
ドアからknock音が聞こた
「どーぞ。」
風磨が短く返す
knockするってことはマネージャーではなさそう
「菊池くん、中島くんお疲れ様です」
と某アイドルグループの子が入ってきた。
俺はこの子はあまり好きじゃない。
ブリブリで合うたびに馴れ馴れしく触ってくる。
「お疲れー。さよならー」
風磨がそう返すと
「菊池くん冷たーい、ツンデレふまたん発揮してるね」
なんてブリブリしたしゃべり方で言う
風磨は眉間に皺を寄せ
うざそうな顔をする。
「あ、健人くん!風磨くん!ご飯いこ?」
「俺パス。」
風磨は冷たく返し出ていく。
「健人くんいこ?」
俺の袖を掴んで上目遣いで言ってくる
「俺、今日用事あるんだ」
正直、上目遣いで見られても可愛いなんて思えないし
聖奈のことで頭がいっぱいで
聖奈との約束もあるから
早く帰りたい
掴まれてる腕を離そうとすれば
強い力で掴まれて
「あたし、健人くんが好きなの」
いきなり告白され戸惑う俺。
「あたしと、付き合って?」
と言うこの子。
名前も知らない
知ってるのは某アイドルグループのメンバーということだけ。
「ごめん。俺には大切な子がいるんだ。」
「知ってるよ。一般人の幼なじみの子でしょ?あたし見たことあるよ。健人くんとその子が一緒にいるの。これ。」
性格が変わったようにベラベラ喋る女。
携帯画面を見せてきた。
それは間違いなく付き合ってるときの聖奈と俺で
家の前でキスしてる写真
「マスコミにばらまくよ?」
悪魔のように笑うその女
でも、俺は……
「勝手にしろよ。」
聖奈を悲しませない
もう傷つけない。
「ファンが黙ってないでしょ?あの子一般人でしょー?殺されちゃうかもよ」
ファンはそんなことしない。
ファンが口出す問題じゃないし、
そんなことするファンはいないと信じたい
だけども実際にヤラカシという奴らもいるわけで
「もし、そうなったとしても俺が護る。」
護れば問題ない。
あいつの泣いた顔みたくないんだ。