第7章 本当に大事なもの
「健人くん表情固いよー」
今は雑誌の撮影中で
最近いつもこんな感じでダメ出しをくらう
笑顔を作り直すけど
上手く笑えない。
仕事だってわかってるけど、
ダメなんだ。
撮影が終わって楽屋に戻ると
「中島。」
風磨に声を掛けられた。
自分でも無意識に敵対してしまう
風磨が悪いわけじゃない。
わかってるのに。
大事な人を奪われた
そう思ってしまう
「仕事とプライベートの区別つけろよ」
なんて言われて
さらにイライラする
バンッ
「んなことわかってんだよ。」
机をおもいっきり叩く俺。
こんなの八つ当たりでしかない。
わかってるけど、ダメなんだ俺。
「わかってねーからこんな風になってんだろ。」
今日は妙につっかかってくるこいつは俺を更に苛立たせる