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~ファインダーの向こう側~【黒子のバスケ☆黄瀬】

第6章 練習試合“これが、黄瀬涼太”



それから、試合が始まった。
試合開始直後、誠凛側がゴールを壊すというハプニングに、驚き、思わずファインダーから顔を覗かせてしまう。
私の横では、試合を見ていた広瀬が驚いて、口笛を吹いた。


「やるなー、誠凛。」



『今、ゴールを壊したのが、“黒子くん”?』


私は、壊したゴールを持って、わたわた彷徨く誠凛の10番を、写真に納めた。




試合は、どんでん返しの波乱続き。
海常生徒のギャラリー(主に黄瀬のファン)からは、不安な空気が伝わる。

そして、私も、第一Q中、思うようにシャッターを切ることが出来なかった。

写真を撮るとき、ある程度パスの先を予想して、カメラを滑らせるのに、予想外のところにボールがパスされているからだ。


『…なんで?』


私は、眉間にシワを寄せて、ファインダーから顔を外してコート見る。

すると、また誠凛のパスが角度をつけて曲がった。

しかし、よく見ると。


「ひ、人がいるっ。」


まるでお化けでも見たように狼狽え、凝視してしまう。


「え?お前なに言ってんの?」


不思議そうに私を見る広瀬に、私は、とっさにお化けのように現れた誠凛の11番を写真に納めた。


「この人!いつから試合に出てたの?」


私は、11番の写真のデータを液晶に出し、広瀬に見せる。


「え?!なにコイツ!こんなヤツいた??えーーー今もいんの??」


広瀬は、コートの中にいるであろう、誠凛11番を目を凝らして見つけようとしている。


『……あの10番が、黄瀬くんが言ってた“キセキの世代”の一人なら、試合の前に調べた記事に載るはず。…もしかして、あの11番が、“黒子くん”?』


私は、黄瀬くんにピントを合わせて、シャッターを切る。

黄瀬くんは、この前のような顔はしていなかった。


「これが、黄瀬涼太。なのね。」


私は、笑顔でシャッターを切った。

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